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(古泉とキョン)
突然その手を握ったら驚かれるだろうなと思いながら手を握った。
「はあ?」
振り返りつつ手をはじくという器用なことをした彼の手を、もう一度握る。どちらかと言うと体温は高い。とは言っても、自分の手の温度が低いほうなので自分基準でしか考えられず、自分以外の誰かが彼の手を握ったらもしかすると冷たいと思うのかもしれない。
おいなんだよと低い声を出す彼の手を、指を、指の腹を、じっくりと撫でる。自分と手の大きさなんてほとんど変わらない。もし仮にこれが彼と一緒にいる背の低い男のものであればもう少し違って、涼宮さんなんかだともっと華奢なのだろう。指は筋ばっていて固いわりに、皮膚がつやつやとしていて柔らかい。
「古泉、真面目に気持ち悪い」
「どうも」
「なんでそこでどうもなんだよ、言葉のチョイスがおかしいだろ」
一度振り払った手を握られた。二度目はもう面倒臭い。そう言いたげに手から力を抜いている彼に、許された気分になる。ここぞとばかりに骨をなぞったり爪を押したり手相を見たりした。親指の第二関節を執拗になぞったあと、手首を掴んでみたりする。特別華奢なわけでも太いわけでもなく、僕と同じかそれより少し細いくらい。手首のちょうど真ん中に薄くくぼみがあって、そこを押すと骨に押し当たった。
「何がしたいんだ、お前は」
「ちょっとした好奇心ですよ」
「わけがわからん……」
脱力する彼の肩に触れる。いやなことがしたいわけじゃない。あなたを嫌な顔が見たいわけじゃない。喜んで欲しいわけでもなく、蔑まれたいわけでもなく、ただ単に、何をしてもお前ならよかろうと、ゆるされたいだけなのだ、僕は。
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